赤ちゃんが生後5ヶ月になると、首がすわって寝返りが出来るようになり、離乳食を始めようと考える時期ですね。
離乳食を作ろうとしたときに、
「この食材は与えてNGかどうか」
「友達が赤ちゃんにあの食材を食べさせていたけど、うちの子もそろそろ使って良いのか?」
など、離乳食でどんな食品を与えて良いか分からないこともあると思います。
離乳食には、月齢に応じて与えて良い食材と与えてはいけない食材があります。赤ちゃんの生命を守るためにママが正しい情報を知っておくことが必要です。
今回の記事では、代表的なNG食品と注意する食品、理由、いつから与えても良いかも含めてご紹介します。
絶対に与えてはいけない食品
絶対に与えてはいけない食品は、はちみつと生魚や魚や鶏のたたきなどの半生の食材です。
はちみつは体に良い食品として知られていますが、赤ちゃんには満1歳を過ぎるまで与えないで下さい。
はちみつの注意点
はちみつにはボツリヌス菌が含まれており、乳児ボツリヌス症を引き起こします。
2017年には国内でボツリヌス症による乳児の死亡事故も発生しました。
ボツリヌス菌は熱耐性が高く、煮沸消毒や調理をしても死にません。
そのため、はちみつ入りのお菓子や飲み物などの食品も与えないで下さい。
満1歳を過ぎると赤ちゃんの腸内環境が整い、腸内細菌が育ってボツリヌス菌に対抗できるようになるため、はちみつが食べられるようになります。
参考:
【事務連絡】170407蜂蜜を原因とする乳児ボツリヌス症による死亡事案について
ハチミツによる乳児のボツリヌス症 | 消費者庁
生魚や半生食材の注意点
刺身などの生魚も与えるのはNGです。
生魚や半生食材にはさまざまな細菌や寄生虫が潜んでおり、食中毒を引き起こす危険があります。
食中毒が起こった場合、体が成長途中の赤ちゃんは大人よりも抵抗力が弱いため、重症化しやすいです。
基本的に魚や肉は、しっかりと加熱して与えるのが原則です。
喉に引っかかりやすい主な食品4つと対策方法
食べ物を喉にひっかけたとき、大人の場合は咳こみが出来るので食べ物を体の外へ出すことが出来ますが、赤ちゃんは咳こむ力が弱く、間違って食品を飲み込んでしまい窒息事故を引き起こすことがあります。
赤ちゃんの命にも関わることなので、喉に引っかかりやすい食品を知っておくと対策できます。
ここでは、喉に引っかかりやすい主な食品4つと対応方法をご紹介します。
ピーナッツなどのナッツ類は3歳まで控える
固いピーナッツなどのナッツ類は、噛まずにそのまま飲み込むため窒息しやすいです。
「あんな小さい大きさで?」と思うかもしれませんが、赤ちゃんの気管は細く詰まるリスクは大変高いです。
また粒だけではなく、小さく砕いた豆やピーナッツも破片が気管に入りこみ、肺炎や気管支炎を起こす場合があります。
豆やピーナッツなどのナッツ類は、噛む力が整う3歳までは控えましょう。
葉物類の野菜は柔らかい葉の部分から調理する
ホウレン草や白菜などの葉物類は初期から使える食材ですが、最初は柔らかい葉の部分を調理して与えましょう。
葉物類の茎の部分は繊維質を多く含み、すり鉢でつぶしても切れないので、赤ちゃんの力で噛み切るのは難しいです。
葉物類の茎の部分は、喉に引っかかりやすいため後期から少しずつ与えて下さい。
キノコ類は離乳食後期から与える
エノキなどのキノコ類は、食物繊維が多く間違って気管に入りやすい食品です。
特にエリンギやマッシュルームは弾力があるので気を付けて下さい。
キノコ類は後期から完了期の間にチャレンジして、もし赤ちゃんが食べにくそうにしていたら細かく刻んだり、とろみをつけたり工夫をしましょう。
芋類はとろみを付ける
さつまいもなどの芋類は、水分が少なくパサパサしている食材なので、そのままでは飲み込めない赤ちゃんも多いです。
飲み込みやすくするために、とろみを付け赤ちゃんの口の中でまとめやすくする、裏ごしして食感をなめらかするなど調整や工夫が必要です。
もちは3歳から与える
赤ちゃんにとって、もちは噛みにくく、喉に詰まりやすい食材なので3歳以降に与えましょう。
もちは、粘り気と弾力が強い食品なので、もし赤ちゃんの喉に詰まってしまうとその粘り気で気管を防ぐため、窒息する可能性があります。
また3歳を過ぎても食べ物をそのまま飲み込んだり、飲み込む力の弱い子どもの場合は喉に詰まる可能性があるので、お子さんの状況を見ながら与える時期を遅くすることも大切です。
糖分・塩分・油分が多い食品はダメ
糖分・塩分・油分は大人用の加工食品に多く含まれており、きちんと赤ちゃんの発達に応じて与えないと、赤ちゃんの未熟な胃腸や腎臓への負担が大きくなります。
糖分・塩分・油分を体に取り入れるためには、消化酵素の分泌ができる状態であることも必須です。
ここでは、糖分・塩分・油分を避けた方が良い理由と注意事項についてまとめました。
糖分を避けたほうがよい理由
糖分の摂りすぎは赤ちゃんの味覚と成長に大きな影響を与えます。
赤ちゃんにとって「甘い」は大好きな味です。
そのため甘味を覚えてしまうと、常に甘い味を求めてしまい、薄い味で満足することが出来ず、離乳食を食べなくなる赤ちゃんが多いです。
さらに糖分を摂りすぎると、本来赤ちゃんの体の成長のために使われるはずのビタミンが、糖分を消費するために使われるため、ビタミン類が不足し、赤ちゃんの体が疲れやすくなるそうです。
糖分の使用は少量にしておきましょう。
参考:甘いものやお菓子の適量は? 子供におすすめ&注意すべき食材も | 子供とお出かけ情報「いこーよ」
赤ちゃん用イオン飲料は日常的に与えない
赤ちゃん用のイオン飲料は、糖分を多く含んでいるため、赤ちゃん用だとしても基本的には甘みを加えてあります。
イオン飲料を与えるときは、体調不良や熱で母乳も水分もとれない場合に限定し、日常的に与えるのは避けましょう。
塩分を避けたほうがよい理由
塩分は基本的に母乳や離乳食を食べていれば不足することはありません。
塩分の摂りすぎは、赤ちゃんの腎臓にダメージを与え高血圧のリスクを高めます。
「日本の食事摂取基準」より乳食後期の1日の目安量は1.5g、1~2歳の子どもは1日3gとなっています。
塩分摂取目標量を超えないように気をつけて下さい。
参考:
日本の食事摂取基準 2 乳児・幼児|厚生労働省
日本人の食事摂取基準(2020年度版)|沖縄県
大人用うどん・麺類はゆでて塩分を抜く
大人用のうどんを離乳食に使う場合は、一旦ゆでて塩分を抜いてから赤ちゃんに与えましょう。
赤ちゃん用として販売されているうどんは、既に塩分が抜いてあるため離乳食に使っても大丈夫です。
使う際にはパッケージの表記を見て、塩分が入っているかどうか確認して使い分けて下さい。
油を避けたほうが良い理由
油はタンパク質や糖質よりもエネルギーを多く作ることが出来るため、赤ちゃんにとっては効率の良い栄養分です。
ただし、油の摂りすぎは肥満や下痢の原因になるため注意が必要です。
油は、栄養素としては「脂質」と呼ばれ、脂質は必須栄養素の1つです。
脂質はお魚やお肉、卵などのタンパク質からも十分摂れるため、あえて摂る必要はありません。
油を離乳食で使う時のポイントは、なるべく加工処理されていない良質な油を使うことです。
たとえば、実を絞ってろ過しただけのオリーブオイルや生乳から作られているバターは、離乳食に取り入れたい食品です。
参考:大人も子どもも「良質な油」を使おう。 : 保育園で働いていた管理栄養士藤原朋未がお届けする「ママ楽ごはん」
マーガリンではなくバター(できれば無塩バター)を使う
生乳から作られている無塩バターは6ヶ月から風味づけとして1日約1g~2g使うことが出来ます。
無塩バターは牛乳から得られた脂肪粒を練って固めたもので作られており、赤ちゃんの体でも消化されやすい食品です。
逆に植物油から作られているマーガリンは、加工処理されており体を酸化させるトランス脂肪酸が入っているため出来るだけ避けたい食品です。
離乳食で油を使うときには、マーガリンは避け無塩バターを使いましょう。
1歳までお魚やお肉から出てくる油は避ける
お魚やお肉から出てくる油は、油が酸化しているため赤ちゃんの体に良くありません。
中期・後期に与える場合は、出来る限り避けてあげましょう。
1歳以降はそのまま与えてOKです。
スナック菓子は離乳食期には与えない
大人が食べるスナック菓子は糖分・油分・塩分が含んでいます。
離乳食期だけではなく、幼児食でも大人が食べるお菓子を与えることは味が濃いためおすすめしません。
子どもの食事は薄味が基本なので、一度濃い味を覚えてしまうと薄味を食べてくれなくなったり、食事の味を戻しにくくなります。
幼児食が終わる3歳までは控えましょう。
アレルギーを起こしやすい要注意7食材
アレルギーを起こしやすい食材は、消費者庁が指定する「アレルギー表示20品目」と内閣府令で特定原材料として定められた「アレルギー表示義務7品目」の合計27品目あります。
特に注意したいのは、アレルギーを引き起こすと重症化しやすい食材の「アレルギー表示義務7品目」です。
ここでは、アレルギー表示7品目の食材と注意点についてご紹介します。
卵
アレルギーでよく気にされる食材の卵ですが、きちんと時期に合わせて与えれば、アレルギーになりにくい食材です。
離乳食初期の後半に、まず固ゆでの卵黄を4分の1、ゆるいペースト状にして少しずつ与えます。卵のアレルギー物質は卵白に多いので、まずは卵黄の中心からあげるようにするとアレルギーが発生する可能性も少なくなります。
段々慣れてくると、中期には卵黄1つ、後期では半量の全卵がOKになります。
完了期になるとまるまる1つ食べることが出来ます。
赤ちゃんの離乳食時期に合わせて、卵の量や使う部位に注意しながら与えましょう。
小麦
パンやうどんなどの料理に使われており、離乳食中期にはホワイトソース、後期には蒸しパンやお好み焼きなど使いやすい食材の1つです。
小麦粉自体は5ヶ月頃から赤ちゃんに与えることは可能ですが、もし心配な場合は中期以降でもOKです。
初めて与えるときは、パンがゆを1口与えてみて大丈夫かどうか赤ちゃんの様子を確認してから使いましょう。
牛乳
カルシウムなどの栄養が豊富で赤ちゃんの成長のために与えたい食品ですが、アレルギーの心配で少し迷いがちな食品でもあります。
牛乳は、離乳食後期の後半から少量ずつパンがゆやスープ料理に使うことが出来ます。
飲み物として牛乳を与える場合は、少なくとも1歳を過ぎてからにして下さい。
ピーナッツ(落花生)
あまり離乳食の食材としては使わないピーナッツですが、窒息のリスクもあるため粒状のものは3歳以降に与えましょう。
ペースト状にしたものを与える場合でも最低1歳を過ぎてから、赤ちゃんの様子を見て与えて下さい。
参考:必ず知っておこう!離乳食NG食材まとめ | MIMI STAGE
そば
昔から日本人に馴染みのあるそばですが、アレルギーが起こると喘息発作やじんましんなど強い症状が現れます。
1歳半を過ぎてから体調が良い時に少し与えてみて、様子をみながら与えて下さい。
エビ
お寿司のネタとして人気のエビですが、トロポミオシンというタンパク質が原因でアレルギーが起こります。
エビはカニよりもアレルギーになる頻度が高く注意したい食材です。
加工品は生よりもアレルギーが出にくいため、離乳食が終わる1歳半以降にエビなどの加工食品で少し試してみましょう。
参考:
エビ・カニは何歳から食べてOK? 甲殻類アレルギーの特徴&症状 | 子供とお出かけ情報「いこーよ」
エビ、カニ|代表的な食物アレルゲン|原食物アレルギー|因別アナフィラキシー|アナフィラキシーってなあに.jp|マイランEPD 合同会社
カニ
カニもエビと同じようにトロポミオシンを持っており、エビアレルギー持っている子どもの中で約65%がカニアレルギーを発症します。
カニのエキスやせんべいなどの加工品は人によって食べられる範囲が違います。
最初は、カニのエキスが入ったカニスープなど1歳半以降に与えみて、赤ちゃんのアレルギー症状が出ないか観察して下さい。
成長に合わせて少しずつ食材を試していこう
離乳食で与えてはいけない主な食品、アレルギー食材を含む要注意食材をご紹介しました。
大事なのは、ママが正しい知識を持ち、成長段階に応じて赤ちゃんに与えてはいけない食品と要注意食品に気を付けて離乳食を与えることです。
初めての食品はスプーン1杯から試していき、赤ちゃんの様子を観察しながら少しずつ食材のバリエーションを広げ味や食感の体験をさせていきましょう。
食材やアレルギーについて心配な場合は一人で悩まずに、病院の栄養相談を利用したり、市区町村の保健センターで保健師さんに相談したりして離乳食を進めていくことをおすすめします。
記事監修
三好恵子
管理栄養士資格取得後、自治体の職員向け健康管理業務を担い、特定保健指導に従事する。半年で10kg減量者を多数輩出。その後は子育てを経て、行政の臨時管理栄養士として約3年、離乳食教室や乳幼児健診等で指導を行う。