離乳食の味付けは、多くのママたちが迷うポイントです。
- 離乳食が薄味って知っているけど、いつから味付けして良いの?
- そもそも離乳食に味付けは必要なの?
味付けには赤ちゃんの体の成長が密接に関わってきます。体の成長にあわせて味を付けてあげることで、赤ちゃんに負担をかけずに成長を助けられます。
また、赤ちゃんは離乳食が進むにつれて味への反応を示すようになります。
調味料をどのくらい使えば良いのかが分かると、飽きや好みに対応できるようになります。
この記事では、離乳食時期別の味付けの方法と量、注意事項について解説します。
掲載している内容は一部合同会社ニワトコ発行の子どもノートを参考にしています。
離乳食の味付けは中期から、量はごく少量でスタート
離乳食の中期(7~8ヶ月)頃から出汁による味付けを始めます。
本格的に味付けが始まるのは後期からで、月齢毎に使える調味料や量は変わっていきます。
赤ちゃんの味覚が未発達なので、まず「だし」による味付けで慣らしていきます。
味覚は大人よりも繊細
味を研究している鈴木隆一先生によると、舌の中にある味蕾という味のセンサーが赤ちゃんは大人よりも約1.3倍もあるそうです。
参考:舌の話|日本医師会
そのため、赤ちゃんは大人よりも繊細な舌を持っており、調味料で味つけをしなくても味を十分に感じ取ることができます。
また、食材の好き嫌いがでてくるのも味覚が敏感だからとも言えます。
濃い味から始めると生活習慣病になる可能性が高い
薄味で十分な赤ちゃんに濃い味付けの離乳食を与えるとどうなるでしょうか。
赤ちゃんも濃い味に慣れてしまうと、次第に濃い味付けを好むようになり、薄味では満足できなくなってきます。
濃い味付けの食事には調味料も多く含まれているので、肥満や虫歯といった生活習慣病のリスクが高くなります。
さらに、塩分、糖分の高いものを与えると、赤ちゃんの腎臓は発達中なので消化が満足にできません。結果、腎臓への負担がかかってしまい体調が悪くなってしまいます。
濃い味の離乳食を初めから与えることは止めて下さい。
基本は薄味で作る
離乳食は基本的には味なしで良いですが、早い子だと6ヶ月で離乳食の味に飽きてきます。
離乳食の味に飽きた場合は、少しだしを加え変化をつけてあげると離乳食を食べてくれます。
ただ、どれくらい薄味なのか判断が難しいと思いますので、薄味でもおいしく仕上げるポイントと注意点をご紹介します。
赤ちゃん用だし・野菜だしを上手に使い、調味料はごく少量に
だしにはグルタミン酸という旨味成分が入っており、母乳にも同じ成分が含まれているため赤ちゃんが慣れ親しんだ味の1つです。
ただ、市販の大人用のだしやコンソメは、塩分が多く含まれているので離乳食に使うことはおすすめしません。
赤ちゃん用のだしを使えば塩分がきちんと調整されているので安心です。
もし、赤ちゃん用のだしがない場合はかつおぶしを潰して入れるとだしと同じ味がでますので代用できます。
また、野菜だしは煮た野菜をそのまま離乳食に使えるため、調理の時間短縮にもなり、おすすめです。
しょう油などの調味料は、後期から料理に1~2滴程度のごく少量であれば使うことが出来ます。
献立は和食や洋食を交互に、時々ベビーフードで+αの変化を
離乳食の献立は少し工夫が必要です。
朝食が和食なら次は洋食にしたり、肉の次は魚、ベビーフードに野菜をプラスで加えボリュームを出したりと変化をつけてあげることも赤ちゃんの味覚を育てるためには必要です。
朝はかぼちゃとおかゆにだしを入れ和食に、昼食はピーマンのバターソテーで洋風に、夜はベビーフードの中華煮に煮たキャベツをプラスしてアレンジをするなどして味の飽きを防いであげましょう。
固さや食感でバリエーションを増やす
食材の固さや食感で、さらにバリエーションの幅を増やすことが出来ます。
たとえば、野菜を形が残るくらいの固さに煮たり、裏ごしして食感をなめらかにしたり工夫をしましょう。
もちろん赤ちゃんの噛める大きさにすることも大事です。一度与えて噛めないようであれば潰してあげたり、小さくしてあげましょう。
塩分量に気をつける
調味料には多くの塩分が含まれています。
ですが、赤ちゃんの1日の塩分量の目安は1.5gです。
魚やパンなど、食べ物自体に塩分を含む食品もあるため、調味料で使えるのは約1gまでと考えて下さい。
たとえば、1滴ずつ出せるタイプの市販のしょう油だと押した1滴で0.1 g程度の量です。
使う場合の測り代わりに覚えておきましょう。
生タイプや減塩タイプも塩分が控えめなので、味付けに使うときにはおすすめです。
離乳食期別、使える調味料と1食の量
離乳食期別の使える主な調味料と1食分の量を一覧表にしました。
離乳食の味付けをするときに参考にして下さい。
初期 (5~6ヶ月頃) | 中期 (7~8ヶ月頃) | 後期 (9~11ヶ月頃) | 完了期 (1歳~1歳6ヶ月頃) | |
---|---|---|---|---|
野菜だし | ◯ 3~4倍薄める | ◯ | ◯ | ◯ |
油脂類 | △ 6ヶ月から バター 1~2g | ◯ 7ヶ月 バター2g 8ヶ月 バター4g | ◯ バター 植物油 6g | ◯ バター 植物油 すりごま 6g |
砂糖 | × | × | ◯ 料理に使用 0~3g | ◯ 3g |
しょうゆ みそ 塩 | × | × | ◯ 料理に使用 0~1g | ◯ 2g |
離乳食 初期の味付け
基本的に味を付ける必要はありません。
初期は、玉ねぎや人参などの植物性の野菜だしを使います。
野菜だしはご飯に味を付けたり、そのままスープしたりと用途は広いです。
また、6ヶ月頃からバターがごく少量ですが使えます。
離乳食 中期の味付け
まだ、味付けはしなくても大丈夫です。
動物性のかつおだしが使えるようになります。
かつおだしは香りが良く、野菜だしとブレンドするとさらに旨味がアップします。
さらに中期になれば使えるバターの量も増えます。
離乳食 後期の味付け
味付けが本格的に始まりますが、使える調味料の量は大人の4分の1です。
砂糖・しょうゆなど使える調味料が増え、料理のバリエーションを増やせます。
濃い味付けを避けた離乳食を心がけましょう。
離乳食 完了期の味付け
1歳を過ぎると大人と同じ濃い味付けは無理ですが、使える調味料の量が大人の3分の1に増えます。
ただし、まだ調味料を使う量には十分注意が必要です。
しょう油・味噌は要注意
しょうゆとみそには大豆が含まれています。
大豆は、消費者庁が定めた表示が推奨されているアレルギー食材の1つです。
赤ちゃんにしょうゆやみその入った離乳食を与える場合、最初はスプーン1さじから試し、赤ちゃんの様子に変化がないか確認するようにしましょう。
参考:【資料 6】消費者庁における主な取組み 大豆アレルギーについて
いろんな味を食べて大丈夫な味と学習させる
離乳食中期以降は赤ちゃんの体も成長して消化酵素や味覚も発達してくる時期です。味付けもバリエーションをつけるので赤ちゃんの好き嫌いも出てくる時期です。
食べ物の美味しさを支える基本の味は5つあります。
- 甘味
- うま味
- 酸味
- 塩味
- 苦み
特に苦味・塩味・酸味は離乳食のトレーニング学習によって後々、獲得する味覚です。
味覚と脳の学習により、最初は赤ちゃんが嫌がり食べていなかった食材も、だんだん食べ慣れてくると脳が大丈夫な味だと学習し、あとで食べられるようになることが多いです。
赤ちゃんは食材を食べた経験が少ないので、少しでも経験値を積ませて「この味は大丈夫だよ」と安心させてあげましょう。
市販品も賢く活用しよう
手作り離乳食に市販のベビーフードを組み合わせて使うと、赤ちゃんがいろんな味付けに慣れることができ、手軽に味覚の学習ができます。
さらに、ママの体の調子が悪いときや緊急時に誰かに赤ちゃんを預けないといけなくなった場合、ベビーフードの味に慣れさせておくとスムーズに食べてくれるため、赤ちゃんもストレスが少なくママの負担も減ります。
赤ちゃんとママお互いのために、ある程度ベビーフードの味に慣れさせておくことは必要です。
全て手作りの離乳食を食べさせて大きくなった赤ちゃんが、市販品の味に慣れておらずママの手作りの料理しか食べられない子どもになっていたという話があります。
薄味に慣れすぎていた子どもは濃い味の食事が食べられず、外食で出てくるメニューが食べられず、友達と遊びに行くときは子どもに毎回お弁当を持たせていたそうです。
手作り離乳食にベビーフードを上手く組み合わせて、どちらの味にも慣れておくのがベストです。
離乳食の味付けまとめ
- 味付けは後期から本格的に始める。
- 基本は味なしか薄味で濃い味のものからは与えない。
- だしをうまく使って、調味料は控えめに。
- 手作り離乳食と市販品のベビーフードを上手に組み合わせる
- 将来のため食べられる味のバリエーションを広げておく。
- 手作り離乳食と市販の味にも慣れたらベスト。
赤ちゃんは離乳食期を通して、さまざまな味や食感を経験し味覚や食感を学習していきます。
調味料を使える時期や使える量に注意しつつ、赤ちゃんの成長に合わせて離乳食の味を調整することが大切です。
調味料やだしでバリエーションを増やし、日々の離乳食作りにぜひ活用してみて下さいね。
記事監修
三好恵子
管理栄養士資格取得後、自治体の職員向け健康管理業務を担い、特定保健指導に従事する。半年で10kg減量者を多数輩出。その後は子育てを経て、行政の臨時管理栄養士として約3年、離乳食教室や乳幼児健診等で指導を行う。