離乳食と内臓の成長

離乳食を食べようとしている赤ちゃんの写真離乳食の準備
離乳食の準備

離乳食の進め方は、実は赤ちゃんの内臓の成長と深く関わっています。

人間が食事を分解し、吸収するためには、体内で作り出される消化酵素の働きが必要です。

消化酵素にはいくつか種類がありますが、生まれたばかりの赤ちゃんは、母乳やミルクを分解する消化酵素しか持っていません。

成長と共に様々な種類の消化酵素を作れるようになるのです。

この記事では、赤ちゃんの内臓の成長に伴って作り出される消化酵素の働きがどのように離乳食に影響があるのかを解説し、消化酵素を意識した離乳食の進め方について説明します。

掲載している内容は一部合同会社ニワトコ発行の子どもノートを参考にしています

内臓から消化酵素が作り出される順番とアレルギーの関係

トマトをメインに野菜がたくさん盛ってある写真

赤ちゃんは母乳やミルクを飲み、離乳食から栄養を得ることで、内臓が成長し、様々な消化酵素を作り出せるようになります。

消化酵素には作り出す順序がありますが、この消化酵素を作り出す力がないうちに色々な食材を与えるとアレルギーや下痢げりを引き起こす原因となります。

きちんと与える食材の順番を守るようにしましょう。

赤ちゃんの月齢(目安)と内臓の消化吸収能力

新鮮な卵が3つある写真

赤ちゃんの月齢別に、体内で作られる消化酵素と消化できる食材の栄養素を一覧にしました。

ただし、月齢はあくまで目安です。
赤ちゃんによって個人差がありますので、新しい食材を試して調子が悪くなる様子が見られたら、その食材は一時中断しましょう。

月齢(目安)消化に関わる体内分泌ぶんぴ食べ始めることのできる食べ物
0ヶ月~糖質を消化する消化酵素(ラクターゼ)を持つ母乳、ミルク
5ヶ月~でんぷんを消化する消化酵素(アミラーゼ)が増え、液の分泌が増えるおかゆ
6ヶ月~タンパク質を消化する消化酵素(ペプシン)が出始める豆腐、卵黄
8ヶ月~脂肪を消化する消化酵素(すいリパーゼ)が出始めるバター、白身魚、赤身魚、鶏肉
10ヶ月~肝臓から胆汁たんじゅう酸が出始めて、さらに脂肪を消化しやすくなる青魚、豚肉、植物油
1歳~膵臓すいぞうからもアミラーゼを分泌できるようになり、全ての消化酵素が分泌されるるようになる。
まだ消化の力は弱い
軟飯なんぱん、ごはん
4歳膵臓が完成し、大人並みに消化できるようになります大人と同じように食べることが出来ます。
5歳までは誤飲の可能性もあるので、ナッツ類は与えないようにしましょう

新しい栄養素を与えるタイミング

透明なコップにミルクが入った写真

パパやママの中には6ヶ月を過ぎても「消化酵素が出来ているか分からないから、タンパク質を与えるのはもう少し遅くてもいいかな。アレルギーの心配もあるし。」と考えている方もいるかもしれません。

タンパク質は筋肉を増やすために欠かせない栄養素です。

内臓も筋肉で出来ているため、たんぱく質を摂らないと内臓が発達できず、新たな消化酵素も作られなくなってしまいます。

下記記事で、たんぱく質の豊富なヨーグルトやチーズなどの乳製品の離乳食への取り入れ方を紹介しているので、参考にしてください。

また、脂肪も赤ちゃんが成長するために欠かせない栄養素です。

8ヶ月を過ぎると、ハイハイを始めて行動範囲も広がり、活発になるためたくさんのエネルギーを消費します。

脂肪は赤ちゃんにとって必要なエネルギー源です。

新しい食材はベストな時期に赤ちゃんに与える必要があります。
上記目安を参考に新しい食材に積極的にチャレンジして下さい。

離乳食は内臓の訓練

お父さんが赤ちゃんを膝の上に座らせてお母さんが離乳食を食べさせようとしている写真

内臓を成長させ、色々なものを食べられるようになるには離乳食の栄養素が必要不可欠です。

順番を守って、適切な時期に少量ずつ与えてあげて下さい。

  • 糖質 → タンパク質 → 脂質 の順に少量から与える
  • 適切な時期に与えないとアレルギーを引き起こす可能性がある
  • 大人と同じように消化できるのは4歳頃から

難しく書きましたが、離乳食を通して「食べることは楽しいことなんだ」と赤ちゃんに感じてもらいたいものです。

離乳食を作ったり与えたりすることは、とても体力を使いますが、難しい顔をせずに笑顔で「おいしいね!」と声をかけながら親子で離乳食を楽しんで下さい。 

記事監修

三好恵子

管理栄養士資格取得後、自治体の職員向け健康管理業務を担い、特定保健指導に従事する。半年で10kg減量者を多数輩出。その後は子育てを経て、行政の臨時管理栄養士として約3年、離乳食教室や乳幼児健診等で指導を行う。

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