子どもが好きなバナナやリンゴなどの果物は、多くのお子さんが喜んでたくさん食べてくれるので、お父さんやお母さんも嬉しいですよね。
また、ビタミンやミネラル、食物繊維や水分も豊富に含んでいる食品なので、積極的にあげたくなってしまいます。
では、果物はいつから与えるのが良いのか?また、注意が必要な果物はあるのか?
今回の記事では、離乳食での果物の取り入れ方や注意点についてご紹介します。
掲載している内容は一部合同会社ニワトコ発行の子どもノートを参考にしています。
焦って早くあげる必要はない
果物を離乳食に摂り入れるおすすめの時期は9ヶ月頃です。
リンゴなど離乳食初期(5~6ヶ月)から与えられる果物も多く、多くのマニュアル本等にも離乳食初期から与えてOKと書かれています。
しかし、赤ちゃんは基本的に甘いものが大好きです。
(これは赤ちゃんが最初に口にするものが母乳やミルクなど甘味のあるものだからです。)
果物の甘さを覚えてしまうと、他のごはんや野菜などの離乳食を食べなくなってしまう恐れがあるので、離乳食後期の9ヶ月頃から少量ずつ与えるのがおすすめです。
はじめての果物は加熱して少量ずつ与える
果物には酵素という成分が入っています。
消化など体の働きをサポートしてくれる嬉しい成分ではありますが、生のままの酵素は赤ちゃんにとって刺激が強すぎる場合もあります。
そのため、初めて食べる果物は加熱を行い、酵素を弱めてから少量ずつ与えるようにしましょう。
果物についた雑菌等も加熱によって殺菌できます。
与えるときの注意点
「果物を与えるときには加熱して下さい」と書きましたが、果物を加熱すると甘味が増します。
甘味が強いと、他の離乳食をあまり食べなくなることもあります。
そのため、パンに挟んで食べる、水切りヨーグルトや野菜に混ぜるなど何かをプラスして甘味を抑えて赤ちゃんに与えるのがおすすめです。
また、初めての果物はアレルギーを起こす可能性もあります。
初めて食べるときには、小児科が開いている時間帯に赤ちゃんに果物を与えるようにし、食べた後に口の周りや喉がかゆくなる様子が見られたら、与えるのを中断して、早めにかかりつけの病院で診てもらって下さい。
離乳食完了期(1歳)までは缶詰はあげない
缶詰は、保存期間を長く保つために砂糖をたっぷり使っています。
そのため、あまり頻繁に赤ちゃんに与えることはおすすめしません。
ただし、食が細くてなかなか体重の増えない赤ちゃんにとっては、カロリーが摂れて食べやすい食べ物ですので、糖分の摂り過ぎに注意すれば、おすすめの食べ物になります。
離乳食の味付けにシロップを少量使う場合もあります。
ドライフルーツは無糖のものを1歳から
ドライフルーツは砂糖がまぶしてあるか、食塩が添加されているものもあります。
摂り過ぎると砂糖や塩分も摂り過ぎることになるので、注意が必要です。
また、固さがあるのでお湯で戻して与える必要があります。
手間を考えると、生のフルーツを与えた方がいいかもしれません。
果汁摂取を勧めていたのは2007年まで
2007年までは母子手帳に生後3~4ヶ月くらいから果汁の摂取を推奨する記述がありました。
離乳食に慣れることやビタミンを摂取することが目的とされていました。
ところが、赤ちゃんが果汁の甘さを知ってしまい、母乳やミルクを飲まなくなったという声や、母乳やミルクの栄養で充分だという知見から、2008年には母子手帳から果汁摂取を勧める記述が削除されました。
参考:赤ちゃんの果汁はいつから?生後2~3ヶ月からは古い考え?生後6ヶ月未満の乳児には果汁は不要! | ままのて
果汁の摂取が推奨されていたため、おじいちゃん、おばあちゃんから「果汁を飲ませてあげなさい」と勧められることもあるかもしれません。
現在の育児では果汁は推奨されていないことを説明し、子育ての最新情報を共有して子育てに協力してもらえるようにしましょう。
おすすめの果物
スーパーなどでよく見かける一般的な果物は食べさせて慣れさせておくことも重要です。
9ヶ月頃を過ぎたら、赤ちゃんの様子を見ながら少量ずつ与えてください。
りんご
りんごは家にあるすりおろし器で簡単にトロトロの状態にできるので、与えやすい果物です。
また、ペクチンという食物繊維も豊富で、便秘の解消が期待できます。
しかし、赤ちゃんの体質によってペクチンが下痢や便秘を引き起こす原因にもなりますので、注意が必要です。
※アレルギー特定原材料等28品目に含まれていますので、はじめて食べる際には症状が出ないか観察しながら与えてください。
バナナ
バナナはフォークで簡単に潰せて、持ち運びにも便利な果物です。掴み食べの練習にもなるおすすめの果物です。
※アレルギー特定原材料等28品目に含まれていますので、初めて食べる際には症状が出ないか観察しながら与えてください。
みかん
消化しにくいため中袋もむいて与えるようにして下さい。
最初は絞って果汁だけ与えてください。ビタミンCが豊富で、風邪予防に有効です。
いちご
果汁を絞って与えたり、すりおろしてトロトロにすることも出来ます。
ビタミンCや葉酸が豊富な果物です。ジャムは糖度が高いので、与えないようにして下さい。
ぶどう
甘味が強く、子どもに人気のある果物ですが、そのまま与えると喉にひっかかって窒息してしまう恐れがあるので、3歳くらいまでは必ず皮をむいて半分に切るなど刻んであげるようにして下さい。
気をつけるべき果物
果物にもアレルギーのリスクが高いものがあります。
食べた後、下痢を起こしたり、口周りの皮膚が炎症を起こして赤くなったりすることもありますので、様子を見ながら与えるようにして下さい。
参考:キウイは いつから食べられる? アレルギーの心配は? | 母子栄養協会
マンゴー
口周りがかゆくなりやすい成分が含まれています。
1歳を過ぎても大量に食べさせるのは危険ですので、3歳くらいまでは少量までにして下さい。
パイナップル
マンゴーと同じく、口周りがかゆくなりやすいです。
また、繊維が多く、消化不良を起こす可能性も高い果物です。
キウイ
キウイは、アレルギーを発症すると全身に症状が出やすい果物です。
キウイを食べた後は口周りだけでなく、全身を確認して下さい。
もも
ももは、アレルギーを起こしやすい食べ物としてアレルギー表示の対象28品目に含まれています。
果物はあくまで補食。与えすぎに気をつけよう
果物は天然のもので、体にいいものという認識があるので、ついつい赤ちゃんにも与えてしまいがちですが、果物にも果糖という糖分がたっぷり含まれています。
食べ過ぎは糖分の摂り過ぎとなり、肥満や病気の原因となる可能性もあります。
栄養は豊富ですが、野菜とは異なりますので、あくまで果物は補食と捉えて、与えすぎには注意して下さい。
記事監修
三好恵子
管理栄養士資格取得後、自治体の職員向け健康管理業務を担い、特定保健指導に従事する。半年で10kg減量者を多数輩出。その後は子育てを経て、行政の臨時管理栄養士として約3年、離乳食教室や乳幼児健診等で指導を行う。