離乳食は赤ちゃんの体や味覚、顎などを育てるために大事なことです。
実は、それ以外でも離乳食で育ててあげられる赤ちゃんの感覚があります。
この記事では離乳食で育ててあげられる赤ちゃんの感覚についてまとめてあります。
とくに離乳食中期以降はハイハイを始めたり、9ヶ月以降はつかみ食べを始めたり、自発的な行動が増えてきてなにかと手がかかり始める時期です。
「離乳食で感覚を養う」という考え方からみると、とても大切な赤ちゃんの行動です。
現在、離乳食真っ最中の保護者の方、これから赤ちゃんの動きが活発になってくる時期を迎える方は、離乳食を栄養補給のためだけに与えるのではなく、たくさんの事を経験させてあげるために活用して下さい。
離乳食では多くのことを感じることができる
離乳食は食事ではありますが、赤ちゃんにとって初めて触れるものばかりです。
赤ちゃんは嫌がったり興味津々だったりと、いろいろな反応を示します。
特に9ヶ月頃にはつかみ食べも始まり、食べ物をつかんで口に運んで食べようとします。
赤ちゃんは物をつかむことで指先の感覚や指の動かし方、つかむ力の調整ができるようになったり、口に入れる動きを覚えたりしながら体の感覚を確かめているようです。
離乳食で育てられる赤ちゃんの感覚がありますので、食べさせながら出来ることを試してみましょう。
触覚・感触
赤ちゃんに口に入れた食感だけでなく、触ったときの食べ物の硬さや素材感を感じさせてあげましょう。
ベタベタやサラサラする感覚を肌で感じ、触る感覚や触ったらどうなるのかを感じさせてあげましょう。
あえて食べ物をつかませてあげるために練習用の離乳食を用意しても良いでしょう。
匂い
赤ちゃんは生まれたときから嗅覚は大人と同じくらい鋭いと言われています。
生まれたばかりの視力が弱い状態でもおっぱいを探して飲むためだと考えられています。
離乳食でミルク以外のものに触れる機会が増えてくるので、いろいろな食材を使う離乳食でも、匂いをかがせてみて下さい。
新しい刺激は、赤ちゃんの脳の発達によい刺激を与えます。
温度
授乳期の段階から赤ちゃんは温かい・冷たいを感じています。
離乳食の温かい・冷たいも感じています。
極端に熱すぎるもの・冷たすぎるものを食べさせるのはよくありませんが、少し温かいスープで温度の違いを感じさせてみても良いでしょう。
ただ、熱いものは小学生ぐらいまで口に入れるのを嫌がるので、離乳食には冷たい~常温ぐらいがおすすめです。
あまり冷たい食べものを与えると、お腹をくだすこともありますので注意して下さい。
色・形・大きさ
離乳食自体では色や形の勉強は難しいですが、食材に触れさせて上げることで色の違い・形の性質・大きさの比較を教えてあげることもできます。
- 丸いりんごの赤
- 小さく丸いぶどうの紫や緑
- つぶつぶのご飯の白
さらに食材に触れることで、質感の感触を学べたり、かじりついてみて食感や味を感じたりすると、赤ちゃんにとってよい経験をさせてあげられます。
複数の情報がつながれば赤ちゃんの中に知識として溜まっていきます。
離乳食を通じて情報の連結ができるようになってきます。
味覚
離乳食は食事ですので、もちろん味の経験をたくさんしてもらうことも大事です。
ただ、赤ちゃんの味覚は大人よりも感じる力が強いので、離乳食の味付けは薄味が基本です。
特に甘み・塩味は調味料で濃くなりやすい味なので、離乳食に使う量には気をつけて下さい。
離乳食を通じて情報の連結ができるようになる
赤ちゃん生まれきてからたくさんのものに触れて経験を積んでいきます。
ハイハイや寝返りで体の動かし方の練習をしたり、おもちゃでつかんだり噛んだりする経験を積んでいきます。
離乳食や食材とのふれあい方でもいろいろな経験をさせてあげることができます。
- トマト見た目と感触がつながると、グチュグチュする事を思い出す
- 牛乳の見た目と味がつながると、味が想像できる
経験として果物をかじらせてあげたり、食材を潰させたりさせてみても良いでしょう。
経験が知識となって赤ちゃんの脳の発達を手助けしてくれます。
「声かけ」をしてあげる
離乳食を食べるときに限らず、育児中の赤ちゃんへの声かけはとても大切です。
食事中の声かけは、
「よくもぐもぐするんだよ~」、「これがおかゆだよ~」、「おいしいね~」など食べているものや触れているものの状況を伝えてあげます。
離乳食を食べないときは、食べているふりをしながら「こうやって食べるんだよ~」と話しかけてもあげると、食べ物の丸のみ防止にも良いです。
「いっぱい食べられたね~」、「食べてくれて嬉しいよ~」など褒めてあげることも大事です。
離乳食を触ったりしているときは「これがりんごだよ~」、「どんな味がするかな~?」、「もぐもぐしてみる?」などの声かけも脳の発達にとって大事です。
9ヶ月ぐらいになると赤ちゃんは、大人が話している内容を理解しています。
コミュニケーションの訓練にもなるので、赤ちゃんに積極的に声かけしながら教えてあげていきましょう。
しだいに赤ちゃんが言葉に反応してくれるようになってきます。
なんでもしてあげず、まずは声かけしてみる
赤ちゃんが思い通りに行動できずに泣くことがあります。
そんなとき、泣き声に負けて何でもしてあげたい気持ちになりますが、そこは声かけをして赤ちゃんのしたいことを聞くようにしましょう。
「ごはん食べたいの?」「お腹いっぱいになった?」
とくに離乳食を食べさせているときは、うまく口が動かなかったり、物をつかんでみたくなったり、かじってみたくなったりと色々なことで赤ちゃんは表情を変えていきます。
表情が変わるということは、赤ちゃんが何かの意思を表示してくるときです。
声かけをすることで赤ちゃんの変化を見つけやすくなります。
欲求を制限しないで、好きにさせてあげる
離乳食を食べさせていると、赤ちゃんがスプーンやフォークなどの食器を触ろうとしてくることもあります。
ついつい離乳食を食べさせることを優先してしまい、赤ちゃんを注意しがちですが、ものをつかむ練習としてもさせてOKです。
触りたい欲求を注意し、させてあげないと赤ちゃんの触りたい意欲が失われてしまいます。
触りたくても触れない状態は自主性の成長を阻害します。
赤ちゃんの時期は自分から食べる意欲や触りたい意欲を危険なこと以外は制限せず、自由にさせて、手を伸ばす・触る・かじるなどをさせてあげましょう。
離乳食を触りたがる赤ちゃんには練習用離乳食を準備してあげるのもオススメです。
意思を表示するチカラになる
赤ちゃんが泣いている時、先回りして何でもしてあげていませんか?
お母さんが何でもしてくれるばかりだと、赤ちゃんは泣くだけで自分で何がしてほしいか表現しなくなってしまいます。
また、好奇心を奪ってしまうことにもなってしまいます。
9ヶ月ぐらいにもなれば意思表示できるようになってくる時期なので、自分で手を伸ばして物をとったり、行動したりできるようになってきます。
「自分で取ってね」と伝えれば、取ってくれるので、何でもしてあげたくなる気持ちを抑えて、赤ちゃんが行動を起こすのを待ちましょう。
段々と赤ちゃんも気持ちを伝えてくれるようになります。
練習用の離乳食を用意してあげる
離乳食を食べさせてあげているときに、赤ちゃんが食器に触ってひっくり返したり、食べ物に触ってしまってグチャグチャになったりしてしまうことがあります。
せっかく作った離乳食をそんな風にされると、いくらかわいい赤ちゃんでも怒ってしまいたくなります。
赤ちゃんの行動を制限しない方がよいと思っていても、食べてもらいたい気持ちもあるのでどうしたら良いか悩みます。
おすすめの方法は、触ることの離乳食と食べさせる離乳食は別で準備してあげて、練習用離乳食で触る・汚すなどの経験をさせてあげてから、食べさせる用の離乳食を口に運んであげましょう。
練習用の離乳食には、できればつかんでも汚れにくく赤ちゃんが口に入れても問題ない硬い食べ物が理想ですが、おかゆなどでも大丈夫です。
練習用の離乳食で遊んでもらえば、せっかく作った栄養満点の離乳食は無駄にならず腹も立ちません。
忙しい中、心に余裕がなかなか持てない時期ですが、赤ちゃんの成長の手助けができる方法を試してみて下さい。
まとめ
赤ちゃんは毎日いろいろな事に触れ成長しています。
離乳食は栄養補給以外にも、食事を通して味覚や触覚だけではなく、赤ちゃんの脳の発達を助けてあげられる大事なお勉強アイテムとも言えます。
赤ちゃんが体を動かし始める時期は脳も大きく成長する時期です。
優しく、しっかりと離乳食を食べさせながらコミュニケーションをとって、これからの赤ちゃんのために体の栄養も脳の栄養もたくさんあげましょう。
記事監修
三好恵子
管理栄養士資格取得後、自治体の職員向け健康管理業務を担い、特定保健指導に従事する。半年で10kg減量者を多数輩出。その後は子育てを経て、行政の臨時管理栄養士として約3年、離乳食教室や乳幼児健診等で指導を行う。