母乳やミルクをあげているから、ご飯を食べてくれないから、離乳食を作るのが面倒だから、そんな育児法を聞いたから、太らせたくないから、アレルギーが心配だからと1歳前後まで離乳食を食べさせない保護者も少なからずいらっしゃるようです。
中には赤ちゃんの離乳食がなかなか上手く進まず、「母乳あげているから離乳食は食べる量が少なくても大丈夫かな?」と考えている方もいらっしゃるようです。
WHOや多くの離乳食の本では、生後6ヶ月頃から離乳食をスタートすることを推奨していますが、赤ちゃんの離乳食の開始時期を生後6ヶ月より遅くすることで、赤ちゃんにどのような影響がでるのでしょうか。
今回の記事では、離乳食の開始時期を遅らせることによって起きる赤ちゃんへの影響についてまとめています。
これから離乳食を始める方、始めているがあまりしっかり食べさせられていない方は記事の内容を読んで、離乳食の進め方の参考にして下さい。
赤ちゃんがなかなか離乳食を食べてくれない場合は、別の記事で食べてくれない場合の対策法をまとめているので確認してみて下さい。
離乳食を与えないことによって起こる影響
結論から言うと、離乳食を食べないと内臓や骨格の発達に悪い影響を与える可能性があります。
母乳やミルクにも沢山の栄養が含まれていますが、生後6ヶ月を過ぎると母乳やミルクの栄養だけでは足りなくなってしまい、食事(離乳食)からの栄養が必要になります。
赤ちゃんの発達のために、離乳食を適切な時期に適切な順番で、赤ちゃんの体が求めている栄養を適切なタイミングで与えることがとても重要です。
内臓の成長に与える影響
離乳食は内臓の訓練の場でもあります。
様々な栄養素を摂ることで、内臓が様々な消化酵素を出せるようになり、様々な食材を食べることができるようになるのです。
また、胃の筋肉はゴム状になっていて、食べ物を入れることで胃が大きく成長します。
胃が小さいままだと食べられる食事の量も増えず、身長や体重も増えにくくなり、幼児期に小食となったりもします。
骨格に与える影響
離乳食を摂ることで、赤ちゃんは咀嚼を覚え、顎の成長を促します。
離乳食を食べない赤ちゃんは顎の発達が遅れ、顎が充分成長せず、歯並びが悪くなってしまう可能性が高くなります。
また、必要なエネルギーが摂れないと、身長や体重も増えません。
指標として、母子手帳にも書いてある成長曲線に赤ちゃんの身長や体重が標準エリアの範囲に入っているかどうか、定期的に確認するようにして下さい。
食品アレルギーの可能性が高くなる
体がある程度大きくなってから、アレルギーの心配のある食品を与えるとアレルギー予防になるという話をする方もいらっしゃいますが、それは間違いです。
離乳食で様々な食品を与えていた方が、アレルギーのリスクは低いという研究結果が出ています。
お父さんやお母さんがひどいアレルギーを持っていたり、赤ちゃんがひどい湿疹やアトピーがある場合を除き、積極的に様々な食品に触れさせましょう。
どれくらい与えればいい?
1歳~1歳半の完食期には、ご飯(白米)だけで一食80g~100gほど与えるのが理想です。
一食で100gのご飯というのは結構な量ですが、1歳前後の必要摂取カロリーは約1000kcal(キロカロリー)ということを考えると、100g程度のご飯が必要になってくるのです。
1歳になって、100g程度のご飯を与えても、すぐすぐ食べられるようにはなりません。
生後6ヶ月前後から離乳食を与え、徐々に離乳食の量を増やしていき、胃を大きく育てる必要があるのです。
ご飯を食べない場合
もちろん、あまり離乳食を食べない赤ちゃんもいるため、皆が80g以上のご飯をノルマ的に食べさせる必要はありません。
ご飯を食べてくれない場合は、おやつで補完してあげて下さい。
上手なおやつの活用法やおすすめのおやつについてはこちらの記事を読んで下さい。
手間抜きの離乳食を活用しましょう
離乳食を準備する事はとても手間がかかって大変です。
家族分とは別に、おかゆを作って、野菜をペースト状にして、魚も細かくしなければなりません。
もちろんその間、赤ちゃんやご兄弟がいる場合はお兄ちゃん・お姉ちゃんの面倒もあります。
離乳食を準備するのが億劫になる要素は十二分にあるのです。
離乳食の手作りが億劫になったら、市販のベビーフードを上手に活用しましょう。
ベビーフードを利用することは、手抜きではなく、手間を省いた「手間抜き」なのです。
ベビーフードの上手な活用方法についてはこちらの記事を読んで下さい。
保護者の心の状態は自然と赤ちゃんには伝わっていきます。疲れた顔で離乳食を与えていたら、赤ちゃんは不安になってしまいます。
離乳食は適切な時期にきちんと食べさせてあげましょう
離乳食は赤ちゃんのお腹を満たすために食べさせている食事ではありません。
赤ちゃんの体(内臓や骨など)を成長させるために適切な時期に適切な栄養を食べさせてあげましょう。
赤ちゃんにとって離乳食は成長に欠かせない、無くてはならないものです。
離乳食作りが大変だと感じたときは上手な手間抜きを行って、離乳食の時間は赤ちゃんと笑顔で触れ合う時間にして下さい。
記事監修
三好恵子
管理栄養士資格取得後、自治体の職員向け健康管理業務を担い、特定保健指導に従事する。半年で10kg減量者を多数輩出。その後は子育てを経て、行政の臨時管理栄養士として約3年、離乳食教室や乳幼児健診等で指導を行う。