妊娠中や授乳中の女性は「フラフラする」「なんとなく朝起きれない」など、いろいろな体調不良が起こりやすい時期です。
特に注意したいのが鉄分不足から起こる貧血です。
妊娠期に鉄分が足りなくなると、お腹の中の赤ちゃんの発育や母体への良くない影響を及ぼします。
また授乳中に鉄分が不足すると、お母さんの体の健康が損なわれやすくなります。
今回の記事では、妊娠中から授乳期まで鉄分不足で起こる影響と貧血を解消するおすすめ食材をご紹介します。
妊娠中・授乳中に貧血になりやすい理由
妊娠中・授乳中の貧血は、ほとんどが血液の元である鉄分が不足することから引き起こされる鉄欠乏性貧血です。
妊娠中・授乳中に貧血になりやすい理由はそれぞれ違います。
なぜ体内の鉄分が失われてしまうのか妊娠中・授乳中に分けてご紹介します。
妊娠期:赤ちゃんに鉄分が優先的に送られるため
妊娠期に体内の鉄分が不足する理由は、お腹の赤ちゃんに優先的に鉄分が送られるためです。
妊娠すると赤ちゃんの体を作るための鉄分が必要になり、妊娠前より必要な鉄分量が増え、結果として母体が貧血になりやすいのです。
特に赤ちゃんが大きく成長する妊娠中期と後期は、お母さんが貧血になりやすく注意が必要です。
授乳期:鉄分を授乳により赤ちゃんに与えるため
授乳期に貧血になりやすい理由は、鉄分を授乳により赤ちゃんに与えることで、お母さんに必要な鉄分が失われるためです。
授乳は、貧血の進行を加速させます。
きちんと鉄の摂取をしていれば、1ヶ月程度で回復する場合が多いです。
参考:産後の貧血症状(めまい/立ちくらみ/動悸)3つの原因。食事や休養のススメ | kosodate LIFE(子育てライフ)
貧血が妊娠期・授乳期に与える影響
お母さんが貧血になることで起こるお腹の赤ちゃんや出産後の暮らしに与える影響を時期で分けてまとめました。
妊娠期
- 立ちくらみや息切れ、めまいなどが起こり体がしんどくなる
- 赤ちゃんの体にきちんと栄養が回らず、成長が遅くなる
- 切迫早産になりやすい
出産時
- 陣痛が弱く、出産が長引きやすい
- 血が止まりにくく、感染症にかかる危険が大きい
授乳期
- 母乳が出にくくなる
- 産後の体の回復が遅くなる
十分に鉄分が供給されないと、お腹の赤ちゃんの体の発達だけではなく、母体への影響がとても大きいです。
貧血対策ために、食事から鉄分をきちんと取り入れましょう。
参考:妊娠中の貧血 – 22. 女性の健康上の問題 – ❘ MSDマニュアル家庭版
鉄分が多い食材とおすすめアイテム
貧血を解消するためには、まず鉄分を補給しましょう。
鉄分は、体の中で作れないミネラルなので食事から摂取する必要があります。
ここでは、鉄分不足を解消するための食材と鉄分を上手に摂取するポイント、おすすめのアイテムをご紹介します。
鉄分不足を解消する食材
鉄分には、動物性タンパク質に多く含まれているヘム鉄と、貝類や野菜に多く含まれている非ヘム鉄の2種類があります。
貧血解消には、吸収が良いヘム鉄がおすすめです。
- ヘム鉄が多い食材
鶏レバー、豚レバー、魚など - 非ヘム鉄が多い食材
ひじき、ほうれん草、納豆など
鉄分を上手に摂取するポイント
- 炭水化物も一緒に摂る
鉄が不足している人は、炭水化物が足りていない場合が多いです。
炭水化物が足りないと、エネルギー不足になりきちんと食材の消化が出来ず体内に鉄分を吸収できません。炭水化物もしっかり一緒に摂りましょう。 - ビタミンCを組み合わせる
ビタミンCは鉄の吸収を助けてくれる優れたミネラルです。
鶏レバーの唐揚げにレモン汁を添えたりして、鉄分の多い食材と組み合わせて下さい。
鉄分不足には「まるごと鶏レバー」がおすすめ
手軽に鉄分を補給できるアイテムとして、まるごと鶏レバーがおすすめです。
化学調味料や保存料を一切使用していない国産の鶏レバーをまるごと粉末にしたもので、妊婦さんや授乳中のお母さんにも安心して使っていただけるアイテムです。
赤ちゃんにまるごと鶏レバーを与えるときには、ビタミンAの摂取上限に気をつけて下さい。
まるごと鶏レバーには、1袋当たり15.04mgの鉄分が含まれています。
1日の推奨量は、妊婦さんで1.5g、授乳婦で3gです。
温かいスープや味噌汁、煮込み料理に入れるとコクが出ておいしいです。
特にお腹が圧迫されて食事があまり食べられない妊婦さんは、全体の食事量が減るので飲み物に近いメニュー、たとえばスープにまるごと鶏レバーを加えると鉄を効率よく摂取できるのでおすすめです。
鶏レバーのにおいが苦手な場合は味の濃い料理かスープ料理に入れる
鉄分補給のために「鶏レバーを手軽に取り入れたいけどにおいが苦手」な方もいると思います。
レバーのにおいが苦手な方におすすめの使い方は、味の濃い料理やスープ料理に入れることです。
タンドリーチキンやビーフシチューに一緒に入れると、お肉のにおいでレバー特有のにおいが少なくなるのでおすすめです。
日頃から鉄分摂取を意識して、貧血を改善しよう
- 妊娠期は赤ちゃんに鉄分が優先的に送られるから貧血になりやすい
- 授乳期は鉄分を授乳により赤ちゃんに与えるから貧血になりやすい
- 貧血が母体やお腹の赤ちゃん、産後に与える影響は大きい
- 貧血解消には、吸収が良いヘム鉄を摂る
- 「まるごと鶏レバー」は鉄分補給におすすめ
鉄分不足を改善するためには、日々の生活に鉄分が多い食材を取り入れると同時に、炭水化物やビタミンCなどを一緒にバランス良く摂取することが大切です。
もし食生活の改善で貧血が改善しない場合は、かかりつけの産婦人科や婦人科に相談するようにして下さい。
記事監修
三好恵子
管理栄養士資格取得後、自治体の職員向け健康管理業務を担い、特定保健指導に従事する。半年で10kg減量者を多数輩出。その後は子育てを経て、行政の臨時管理栄養士として約3年、離乳食教室や乳幼児健診等で指導を行う。