赤ちゃんのうんちが出ないという悩みは多くのお父さんお母さんが抱えている悩みです。
お腹のマッサージをしたり、綿棒で刺激したり様々な便秘の解消方法がありますが、今回の記事では腸そのものを見直して、赤ちゃんが便秘になりにくい体になるにはどうすればいいのかをご紹介いたします。
赤ちゃんは基本的に便秘になりやすい
赤ちゃんの腸は未発達のため腸内細菌が整わず、うんちを押し出す筋力も少ないため、どうしても便秘になりやすくなってしまいます。
お腹の中にいる赤ちゃんはほぼ無菌状態ですが、外の世界に出て、母乳やミルクを飲んだり、離乳食を食べたり、おもちゃや床などに付着している様々な菌に触れたりすることで腸内細菌を獲得し、成長に伴って腸内細菌を整えていくのです。
便秘になったからと言って決して焦らないでください。
便秘は赤ちゃんが様々な食材や菌に出会って腸内細菌のバランスを整えるために訓練している最中なのです。
0歳から腸内細菌を整えるメリット
小さいうちから腸内細菌を整えることで、大きくなってから病気になるのを予防することが出来ます。
人の腸内には1000種類以上、100兆個もの腸内細菌がいると言われています。
そして人によって腸内細菌の種類や数、良い菌と悪い菌、そうでない菌のバランスは異なります。同じ腸内細菌を持つ人はいません。
腸内細菌の乱れは様々な病気と繋がっています。
アレルギーや肥満、糖尿病、大腸がんも腸内細菌と密接に関わる病気のひとつです。
腸内細菌のベースは3歳から5歳で決まります。
そのため、5歳までに腸内細菌を整え、ベースを整えてあげることが生涯の健康を支えることに繋がるのです。
参考:乳児腸内フローラ形成機構生涯の健康状態を左右する重要なイベント|日本農芸化学会
便秘の解消のために食べさせた方がいいもの
便秘にならないためにはまず水分を多く摂らせてあげてください。
水はうんちを柔らかくするためには必要不可欠の成分です。うんちが硬くなってしまうと筋力のない赤ちゃんにとってうんちを排出することが難しくなってしまいます。
水の次に大事なのは食べ物です。
食べ物を摂り入れることで、押し出し方式でうんちが押し出されます。
さらに、食物繊維や発酵食品を積極的に摂ると、腸内細菌が整いやすくなります。
食物繊維は水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維に分けられます。
水溶性食物繊維の多い食品を食べさせる
海藻類や果物に多く含まれている食物繊維です。
水を含むとドロドロとした液体になり、水分を保持する力があるので、うんちを柔らかくスルリと出しやすい状態にしてくれます。
また、腸内細菌のエサになるため、腸が元気になり、栄養の吸収する力が上がって、免疫力や筋力の上昇に繋がります。
水溶性食物繊維を多く含む食品(あげる月齢の目安)
- さといも(9~11か月)
- りんご(5~11か月)
- キャベツ(5~6ヶ月から)
- 大根(5~6ヶ月から)
不溶性食物繊維の多い食品を食べさせる
穀類や豆類などに含まれる食物繊維です。
便のカサを増やして、腸のぜん動運動(便を押し出す腸の動き)を活発にしてくれる働きがあります。
不溶性食物繊維を多く含む食品(あげる月齢の目安)
- とうもろこし(5~6ヶ月から)
- 大豆(7~8ヶ月から)
- ほうれん草(5~6ヶ月から)
- しめじ(10か月以降)
発酵食品を積極的に摂る
納豆やヨーグルトなどの発酵食品は乳酸菌や麹菌などの菌によって作られます。
発酵食品の菌を継続的に腸に補給することで、腸内環境を整えることができます。
ヨーグルトや発酵食品を使った離乳食レシピ
【離乳食中期】かぼちゃ納豆ポタージュ
かぼちゃと風味豊かな納豆には、食物繊維が多く含まれています。
納豆菌とかぼちゃの水溶性食物繊維を一緒に摂ることで腸の働きを良くしてくれます。
【離乳食後期】すすむ!すすむ!ヨーグルト!!
ヨーグルトと果物を組み合わせた離乳食のレシピです。
果物は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を豊富に含んでいるので、腸内細菌のエサにもなり、便量も増やしてくれます。
【離乳食完了期】おなか元気!肉じゃが
食物繊維が豊富なごぼうを使った赤ちゃん向けの肉じゃがレシピです。
ごぼうに含まれる不溶性食物繊維は、便の量を増やしてくれます。
また、いも類は水溶性食物繊維が多く、腸の調子を整える働きがあるので便秘解消におすすめです。
もし下痢になったときはこまめに水分補給を
もし下痢になってしまった場合もこまめに水分を補給してください。そして、なるべく早めにかかりつけの病院へ連れて行ってあげてください。
便秘は原因が特定しやすいですが、下痢の場合は原因が様々で、食べ物に限らず病原菌や内臓の病気などの場合もあり、原因の特定が難しい場合があります。
また、下痢は栄養を全て体外に排出している状態ですので、病院で診てもらっていち早く症状を判断してもらい、適切な処置をしてもらいましょう。
腸内細菌にも個人差がある
りんごにはペクチンという水溶性食物繊維を含んでいますが、ある赤ちゃんにはりんごのペクチンが便秘解消に働いたのに、別の赤ちゃんは便秘や下痢を引き起こしてしまうという現象も起こり得ます。
腸内細菌には様々な種類の菌がいて、リンゴが好きな菌、ほうれん草が好きな菌など特徴も様々です。
持っている腸内細菌によって好みが違うので、いろんな食物繊維を取り入れてみてください。
赤ちゃんの便秘は様子をみながら、腸活で改善していこう
人の顔が人それぞれ違うように、持っている腸内細菌も人それぞれで異なります。そのため、便秘の解消方法も皆に合った方法というものは存在しません。
そのため、様々な食品を食べさせてみて、お父さんお母さんがうんちの様子をこまめに観察してみてください。
赤ちゃんによって便秘になりやすい食品、下痢になりやすい食品が見えてくるので、その子なりの腸の特徴をつかんでいきましょう。
記事監修
三好恵子
管理栄養士資格取得後、自治体の職員向け健康管理業務を担い、特定保健指導に従事する。半年で10kg減量者を多数輩出。その後は子育てを経て、行政の臨時管理栄養士として約3年、離乳食教室や乳幼児健診等で指導を行う。